─── 2000年12月29日午後10時10分...
1時間と云う限られた時間ながら、N君と会えるチャンスに恵まれた私とI君。
待ち合わせ場所に向かう途中で、私達はN君に聞いておくべき事を再確認してみた。
ちなみに聞く内容と云うのは以下の4点である。
1.カラオケの実力
2.ビリヤードの腕前
3.所有しているアメ車
4.インターネットのハマリ具合
と、そこで問題が発生した。
「1.」と「2.」に掛かる時間が、
1時間と云う制限内でこなす事が出来ないのではないかと云う問題だ。
そこでI君と検討した結果、
「1.カラオケの実力」については、次回持ち越しとする事にした。
そして、残る「3.」と「4.」について。
実はこの内容が今回の重要なポイントとなる事項だ。
実は、N君も参加したバイト先での飲み会の際、
N君『最近、車の免許取ったんだー!!』
N君『んでね、車も買ったんだー♪えっとね、トランザム♪』
N君『実はYAHOOオークションで買ったんだー。』
とか
N君『今はで、インターネットやってるんだー♪』
N君『それでね♪この前なんかOFF会にも行ったんだよー♪』
と云ったN君の衝撃的な発言が私の耳に飛び込んで来た。
(うわ・・・I君が聞いたらマジ喜ぶだろうな・・・・。)
と密かに思った私は早速、N君に詳しい事を聞き出そうとしたのだが、
N君と席が離れていた為にナカナカ話す機会が出来ず、
結局、聞けないまま終わってしまったのだ。
「アメ車とインターネットの件は絶対に聞き出さないとなぁ・・・」
と云った事を話しながら、I君と打ち合わせていったのだった。
─── 2000年12月29日午後10時28分...
待ち合わせ場所であるボーリング場に到着した。
駐車場に車を止めた私達は、ボーリング場の中に入り、
物陰に隠れて窓から外を覗きながら、N君が到着するのを待った。
─── 2000年12月29日午後10時34分...
そしてN君は、赤のアメ車に乗って颯爽と現れた。
「ほほぅ・・・アレが例の『ナイトライダー』モドキか・・・・。」
そして、ふとI君の方を見ると
「お・・・おー!!N君だよーーー♪ぎゃははは!!」
と久々のN君の姿を見て体内のアドレナリンを増幅させている。
そりゃそうだよな・・・・・。
I君も約4年振りにN君と会うんだもんなぁ・・・・。
アメ車から降りて、私とI君の姿を見つけたN君は
「は~い♪」
と私に声をかけ、
「I君、すんごい久し振り♪いつ以来だっけ?」
とI君に懐かしそうに話し掛けた。
こうして、長い間違う道を歩んでいた3人は、再び交わる事になった。
ただ、それぞれが異なる思惑を秘めている事だけが以前と違う所だ。
あ、この場合、N君は除くけど。
さて、暫くアメ車について語り合っていたN君とI君。
外で立ち話してる時間もないので、当初の打ち合わせ通り、
私 「N君、ここで話すのも何だし、ビリヤードでも行こうよ!」
I君「あ、そうだね♪行こう行こう♪」
と、N君の案内で近くのビリヤード場に行く事にした。
この時点で「2.ビリヤードの腕前」の半分はクリアしたと思っても良い。
後はN君のプレイぶりをI君のデジカメの中に納めるだけだ。
ビリヤード場で受付を済ました私は、I君に目配せをした。
I君(・・・オッケー)
と言わんばかりの表情をしたI君は、
ジャンバーのポケットからデジカメを取り出し始めた。
I君「さぁ、N君!それじゃあコレで写真取るからねぇ!」
N君「あー♪本当?嬉しいなぁ♪」
こうして、ビリヤードを装ったN君の「大撮影会」は始まった。
I君「N君ー、撮るよー!・・・・・はいっ!」
パシャッ!
N君は写真を撮ろうとする度に決めポーズを取ってくれる。
昔と変わらない、マイキューを立てながらのカメラ目線。
そして、N君が玉を撞いた直後に
「N君!このままのポーズで撮るよ!・・・はいっ!」
パシャッ!
N君は、I君のデジカメから繰り出すシャッター音に終始酔いしれていた。
こうしてN君との素敵な時間が過ぎていった・・・。
─── 2000年12月29日午後11時52分...
N君「あ・・・もうこんな時間だ・・・仕事行かなくちゃ!」
私 「そっかー、それじゃあ又今度ゆっくり会おうね。」
N君「うん、今日はI君にも会えて嬉しかったよー!」
I君「おう。んじゃ次の機会(カラオケ確定)にね!」
N君「うん、それじゃあバーイ♪」
とN君はビリヤード場を後にした。
I君「・・・さて、N君が居なくなった今、もうここには用が無いな。」
N君がアメ車で仕事場に行ったのを窓から確認したI君は、
ビリヤードに夢中になりかかった私の首根っこを引っ張り、ビリヤード場を後にしたのだった。
─── 2000年12月30日午前00時08分...
帰る途中の車の中で「N君懇談会」の反省会が始まった。
私 「N君、『ビリヤードやってる』って言ってたクセにグレイトにヘッタクソだったよね。」
I君「うんうん、そうだねぇ。毎月初心者しか出ないハウストーナメントで、
『3年前からずっと2回戦止まりだ』って言ってた理由が良く解ったよ。」
私 「確かに。むしろ、ずっとビリヤードやってなかったI君の方がバカバカ入れてたもんねぇ。」
I君「ちなみにN君は1時間で入った玉の数が1個だけだったな。」
私 「写真はいっぱいデジカメに入ったけどね」
結局、ビリヤードの実力は『進歩なし』という結論に達した。
うん、全く持って簡潔な答えになったもんだ。
I君「んで次は『アメ車』の件は・・・と。」
私 「あ、『アメ車』はいいよ、車の事はよく知らんし。」
I君「了解ー、んじゃ次は『インターネット』の・・・」
私 「・・・・・・あ」
しまった。
聞き忘れた。
私 「・・・うわぁぁぁぁぁ、しまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
写真を撮る事に夢中になりすぎて、
N君にインターネットの件を聞く事を忘れてしまったのだ。
ある意味、1番のメインディッシュだったのに・・・。
悔やむに悔やんだが、もう遅い。
「う~ん、『インターネット』も次回に持ち越しだね。」
と言うI君に従い、今回は泣く泣く諦めようとした。
私 「仕方ないよなぁ、諦めるか。」
I君「そうだね・・・・しかし、らしくないなぁ。」
私 「はは、ビリヤードに夢中になり過ぎちゃったねー。」
I君「俺はバッチリ『アメ車』の話は仕入れたからね、
来週当たりにホームページにアップしてみるかな。」
・・・・・・・・・ん?
・・・・・・・・・ホームページ?!
何気ないI君の言葉に、
私は、おぼろげながらもある事を思い出したのであった。
続
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