「あ・・・そういえば・・・・・。」
飲み会の時にN君がインターネットをやってる話は前述したが、
その時に、もう一つN君が言っていた事を思い出した。
『この前、ホームページ作ったんだーーーーー♪』
昔、中古のパソコン「PC-9801」を購入した経験があるN君。
だが、その大半は18禁のエロゲープレイに費やされていた為、
ゲームの起動方法以外、パソコンの事など何も知らなかった。
そんな彼が「ホームページ」だなんて・・・、
(そんな馬鹿な事あるかってーのーーー。)
とその時は思っていたが・・・・・・
ふと、私はI君に尋ねてみた。
私 「ねぇ、でさ、ホームページを作れるサービスってある?」
I君「んー・・・あぁ、あるよ、確か。」
私 「ええ!本当!!」
I君「うん、ホームページ作れるって云ったら、タブン『あそこ』位だけだねぇ。」
私 「それだったら、そこのURL教えてくれない?」
I君「ああ、いいよ。」
と云う訳で、一つの光明が見えてきた私は
I君を連れて、自宅で「N君のホームページ」を探してみる事になった。
─── 2000年12月30日午前00時38分...
インターネットの世界は広い。
I君の話を聞いて飛んでいったサイト「電撃Dreamcastコミュニティー」は
Dreamcastユーザーのホームページを一手に管理している為、登録者がハンパ無く多い。
さらに分単位で新規登録者が発生している。
その中から、存在するかどうかも解らないN君のホームページを探し出す・・・・。
考えるだけでも、ウンザリする作業だ。
しかし、そのまま諦める訳にも行かず、
取りあえず手始めに、サイト内にある検索サービスを使って登録者を限定する事にした。
私 「さーて、始めますかぁ!」
始めに「出身地」の入力フォームだ。
私 「ん、ここは当然『神奈川県』だね。」
カチャカチャ・・・
次に「生年月日」の入力だ。
私 「生年月日かぁ・・・I君、N君の誕生日いつだっけ?」
I君「えっと・・・3月のね・・・んー忘れちゃったなぁ。」
私 「そっかぁ、取りあえず『3月』と入れておきましょうか。」
カチャカチャ・・・
次は「年齢」の入力だ。
私 「えっと、同い年だから・・・2・・・。」
I君「ちょっと待って・・・念の為『20代』ってヤツ選んどこうよ。」
私 「そっか『20代』だと、若いイメージがあるものね・・・うっうっ・・・。」
I君「・・・・・・何泣いてるんだよ。」
カチャカチャ・・・
さて、最後は「職業」だ。
私 「んー、N君の職業はどう表せば良いんだろう?」
I君「詳しく聞いて無いけど工場勤務だからねぇ・・・、『製造業』かな?」
私 「N君がそんな言葉知ってるか疑わしいなぁ・・・、ここは漠然に『社員』・・・と。」
カチャカチャ・・・
私「よし、これで終わりだ・・・『Enter』・・・っと。」
・・・・カチャッ。
I君「・・・さーて、出ますかねぇ?」
私 「んー、どうでしょう・・・1000件くらい表示されたりして。」
I君「ぐはぁ、そりゃキツいっす。」
と言っている間に
・・・・・パッ。
と検索結果画面が表示された。
私 「おっ、出たな。・・・・どれどれ・・・。」
検索結果に表示されていたのは・・・・・
『1件該当しました。』
私 「・・・・・あれ?1件だけっすよー。」
膨大な登録数に関わらず、該当したのは1件。
もしや、一発でN君のホームページを見つけてしまったのであろうか?
I君「んー、取りあえず、見るだけ見てみますか・・・。」
私 「了解ー、クリック・・・と。」
中を覗いて見ると、登録者のプロフィール画面が表示された。
私とI君は、その内容がN君と一致するかを確認してみた。
I君「・・・・・・。」
私 「・・・・・・。」
I君「・・・・違うな・・・。」
暫くしてI君がこう呟いた。
プロフィールを見ると
『車好き、(愛車はヴィッツ”ESE”)』
と書いてある。
私「そうみたいだね、N君乗ってるの『トランザム』だしね。」
残念ながら、この時点でこのホームページは「シロ」だ。
私「しかし・・・・これで終わりか・・・・・」
ここで一旦私とI君は考えこんでしまった。
I君「・・・んー、検索結果『1件』って事はさぁ、もうちょっと条件緩くしてみても良いのかなぁ。」
私 「そうだね、取りあえず『年齢』を該当無しにしてみようか・・・・・。」
と云う訳で、条件を緩くして再び「検索」。
暫くすると、再び検索結果が表示された。
『2件該当しました。』
・・・・・・オイ。
その内、1件は先程のホームページだ。
つまり、条件を緩くしたのに1件だけしか反映されていなかった。
私 「ああああああ、もう!・・・かったるくなってきたなぁ。」
根本的に面倒臭い事が嫌いな私は
早くも「N君のホームページ」を探す作業にウンザリし始めたのと同時に、
『もう止めたい』という気持ちが芽生え始めた。
時計を見ると、既に午前1時を経過している。
そんな時間に男二人でディスプレイ見ながら一生懸命に探してる・・・
それだけで面倒臭さに拍車を掛けるのには十分であった。
私 「・・・取りあえず、この1件だけ見たら終わりにするか・・・・。」
と半ば「諦めムード」でリンク先をクリックした。
数秒経って表示される管理人のプロフィール。
私 「はぁ~、又プロフィールかぁ・・・どれどれ・・・・・・って、あれ?」
I君「ん、どしたー?」
私 「いや・・・ここのページ何か怪しいなぁ、と思って。」
I君「どれどれ・・・うん、本当だ・・・確かに怪しい。」
管理人のプロフィール内容に、N君と被っている箇所を多々見つけたのだ。
念の為、プロフィール以外のページも確認してみようと思い、
「BBS」の過去ログを辿っていった所、
『仮免を実地85点で合格したよ!!』
と云う『85点で自慢すんなよ』とツッコミたくなる管理者の書き込みを発見。
その書込日付が、N君から聞きだした免許取得の時期とピッタリ当てはまるのだ。
そこで私はI君にある事をお願いした。
『トゥルルルル・・・・・・トゥルルルル・・・・・・』
N君「(ガチャッ・・・)は~い、もしもしぃ~♪」
I君「もしもーし、N君?ごめんねー、仕事中に。」
I君「・・・あのさぁ、N君ってホームページ持ってるんでしょ?」
I君「・・・ハンドルネームは何て名前を使ってるの?」
I君「・・・うんうん・・・・へぇ、『とらき』って云うハンドルなんだー。」
と、それを聞いた私は素早くTOPページにクリック。
TOPページに表示されていたのは・・・
『とらきのホームページへようこそ!』
と云う文字であった。
続
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